香川県建設業協会 創立70周年記念誌
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 日本は世界の中で、とても地震が多い国であり、1923年の関東大震災から今日に至るまで、30回以上もの大きな地震が起こっている。こうした地震の揺れから建物を守ろうという考えから、1983年に第一号の免震建物が建設された。免震建物は1995年の阪神・淡路大震災を契機に、2004年の新潟県中越地震、2011年の東北地方太平洋沖地震を経て確実に増加してきた。2015年末時点では、4,000棟(戸建住宅を除く)を超える建物が免震建物となっている。 また、2004年の新潟県中越地震以降は、建物を守るためだけでなく、大地震後にも建物の機能を保持し「事業継続」を行うことの重要性が認識され、「機能保持」には免震構造が有効であることが広まってきた。防災拠点となる病院・庁舎・消防署・警察署への適用が増加しており、免震構造がスタンダードになりつつある。安心・安全の先へ社会活動継続に向けた「免震建物」◎耐震構造とは建物の構造体(柱・梁等)自体が、大きな地震に耐えうる強度でつくられている構造である。地震の揺れが直接建物に伝わるため、建物自体の揺れは大きくなる。コストは3種類の中で最も安価である。◎制振構造とは建物内部に「制振部材」(ダンパー)を組み込むことで、揺れを吸収する構造である。揺れの低減は免震構造ほど顕著ではないが、高層ビルなどの高い建物に有効な構造である。◎免震構造とは建物と地盤との間に「免震装置」を設置することで、揺れが吸収され建物自体の揺れが軽減される構造である。建物内の設備・家具等の転倒など、2次的災害を抑制できる。免震構造<地震から建物を守る3種類の構造>【各構造の揺れ方イメージ】耐震構造制振構造地震の揺れダンパーダンパーダンパーダンパー地震の揺れ地震の揺れ積層ゴム02進化する建設技術香川県建設業協会 創立70周年記念誌172

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