香川県建設業協会 創立70周年記念誌
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協会70年のあゆみ  2017年7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を中心とする九州北部で集中豪雨が発生。4日まで北陸付近にあった梅雨前線が、西日本付近に南下し、5日朝方、島根県西部で発達した雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生した。福岡県朝倉市では1日の雨量が545.5㎜と観測史上最大を更新するなど、記録的な豪雨となった。大雨の影響で、朝倉市を流れる桂川や大分県日田市の大肥川が氾濫し、一部の地域が孤立状態となった。 災害後、復興に向けて自衛隊・消防による救援活動や、国外からの救助隊・救援物資などの支援が各被災地で行われた。その他にも、募金活動やボランティアが被災地に入り活動するなど、行政・民間を問わず、さまざまな復興支援を継続的に行っている。 自衛隊や消防と同じように動き始めたのが、被災地の建設会社である。自身も被災者であるにもかかわらず、人命救助や応急危険度判定、復旧作業にいち早く動きだした。また、災害時応援協定により、全国の地方自治体や建設会社が被災地に駆け付けた。当協会の会員企業も、東日本大震災や熊本地震のときに、香川県や四国地方整備局の要請を受け、被災地での復旧作業を行った。 南海トラフ巨大地震は、紀伊水道沖から四国南方沖を震源とする周期的な巨大地震の呼称で、今後30年以内にマグニチュード8~9の地震が起きる確率は約70%と予想されている。東海地震、東南海地震と同時に発生する恐れもあり、東日本大震災を超える巨大地震になるとも言われている。 特徴は、東海から関西、中国、四国、九州東部にかけての広範囲で強震、数分以上の長い地震動のほか、太平洋沿岸の広範囲で津波が発生すると予想されている。1946(昭和21)年に和歌山県潮岬沖を震源とする昭和南海地震では、紀伊半島から九州の太平洋側に津波が発生し、大きな被害をもたらした。東日本大震災をはじめとする大災害の復旧活動を通して、災害を想定した準備や対策の重要性を実感したと同時に、想定外の事態にも対応できる企業の体制づくりが急務であることを痛感した。 各企業では、自然災害などの緊急事態に遭遇した場合、損害を最小限にとどめて、事業の継続、早期復旧を図るために、事業継続計画(BCP)の策定に取り組んでいる。BCPとは、災害などで社員や社屋、設備、施工中の現場、協力会社などに被害が出ても、業務を中断させず、中断しても許容される時間内に復旧できるよう、経営の視点から策定したものであり、あらゆる事態に備えて、定期的に見直しを行っている。 今後、設備や建物の強度、耐震性など、克服しなければならない課題がたくさんある。いつ、どこで発生するか予測不能な大災害に備えて、私たちは日頃から災害を意識し、準備をしておくことが大切である。熊本地震の被災地にて復旧作業を行う当協会会員九州北部豪雨建設会社が迅速に対応南海トラフ巨大地震に備えてThe 70th anniversary commemorative book161

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