香川県建設業協会 創立70周年記念誌
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工事がストップするなど、業界の苦難は続いた。 2010年8月、香川県では「高松自動車道の4車線化と国道11号の拡幅」を公約に掲げた浜田恵造氏が県知事に就任。2012(平成24)年12月に自民党が政権を取り返すと、それまで凍結していた公共工事も再開された。高松自動車道の全4車線化は、2019年春に完成予定である。 2011年3月11日、東日本大震災が発生。地震、津波、原発事故と東北から関東の太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらした。建設業界は、発生直後から多額の義援金を含め、さまざまな支援を行う一方で、復興はもとより生活基盤を守る社会資本整備の担い手として、復旧作業にいち早く動き出し、懸命に作業を行った。この震災により、建設業は社会にとって必要不可欠な存在であることを再認識した。 東日本大震災を受けて、全国で避難所や防災拠点となる公共施設の耐震性が見直され、建設基準法の改正や既存建築物の耐震性向上のための施策が実施された。県内でも公共施設の耐震化が進められ、特に低かった学校の耐震化率も、2017年度にはほぼ100%となった。 建設業が果たす役割は増える一方で、建設業を取り巻く環境は悪化し、ダンピング受注による下請企業へのしわ寄せや技術者不足など構造的な問題が浮き彫りとなった。これらの課題を改善するために、2014(平成26)年6月、公共工事の品質確保とその担い手の確保・育成を目的として品確法が改正され、併せて関連する建設業法および入契法も改正された。この改正により、発注者責務として適正利潤の確保が義務付けされたほか、事業や地域の特性に応じた「多様な入札契約方式」の導入・活用が位置付けられた。また、工事の適正な工期設定や発注および施工の平準化の取り組みが開始された。 東日本大震災の復興や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた「オリンピック特需」で、建設業界は勢いを取り戻しつつある。しかし、長かった不況の影響で技術者や技能者が減り、人材不足が浮き彫りとなった。これからの建設業を担う人材の確保・育成は喫緊の課題である。若い人材が働きやすい建設業にしていくために、職場環境の整備や働き方改革を進めている。また、女性が活躍できる建設業を目指し、積極的に採用する企業も出てきた。 県内では、南海トラフ地震など、想定外の事態にも対応できる企業の体制づくりが必要不可欠である。当協会の会員企業はこれまで、地元に密着し、大手企業にも劣らない品質を培ってきた。これからも、地元にしかできない細やかなサービスを徹底し、地域貢献度の高い業界を目指していく。未曾有の大震災を受けてこれからの建設業協会70年のあゆみThe 70th anniversary commemorative book135

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