香川県建設業協会 創立70周年記念誌
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検討しているようですが、土工に限らず色々な面でICT化が示されれば、その中でやれることもあると思います。【筒井】現場の効率化の観点から言えば、2018年の秋からキャリアアップシステムが運用され、技能者一人一人の就労実績や資格を登録することで技能者の技能レベルが見えるようになりますが。【森田】ドイツのマイスター制度のように、技能労働者がどのような仕事をしてきたかを記録することで評価につながります。これからは技能労働者も社会保険に入っていないと現場に入れなくなる時代が来ることを考えると、全てを管理ができるという意味では良いかもしれません。【中村】ただ、それがすぐに技能労働者の賃金に反映するかは疑問が残ります。【村上】現場の数をこなしたから優秀な技能者であるとは一概に判断できませんが、地元の建設会社は、「あの会社に腕のいい奴がいる」というのはわかっていますので、地方では施工履歴をカードにする必要はないと思います。【朝倉】キャリアアップシステムは、ICT施工を含むi-Constructionと相反するものだと思います。一方では生産性向上のため、技能労働者が少なくても工事ができるようにするやり方であり、もう一方では技能労働者の待遇改善をして育てようとしています。本来であれば、技能労働者が現場で力を発揮できる環境を作ることが重要だと思います。【中村】二次製品が増えてきたときに、手間のかかる作業ばかりが残って、仕事量も賃金も上がらず、技能労働者が減っていった側面があります。技能労働者を増やしても、仕事がなければまた減っていく恐れがあります。【森田】キャリアアップシステムの運用は、大きなコストアップにつながる問題であり、建設業界として実際やってみないと分かりません。ただ、企業は常に知恵を絞って問題を解決してきています。企業でしっかりと考えていくことが大切です。【中村】生産性の向上については、私たちの企業努力でできると思いますが、働き方改革については企業だけでは厳しいです。官民一体となって進めていく必要があると思います。【朝倉】私たちの仕事の価格は、積算歩掛りや国土交通省の単価で構成されています。香川県のような小さな面積で、交通量が多いところでの工事ではその積算価格では工事ができないこともあります。積算方法の不具合や改善方法を検証して、協会全体で発注者である県や国に訴えていかなければならないし、その努力を続けていかなければなりません。座談会The 70th anniversary commemorative book215

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