香川県建設業協会 創立70周年記念誌
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香川県建設業協会 最近20年のあゆみ 2008(平成20)年9月15日、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に端を発し、連鎖的に世界的金融危機が発生した。いわゆる「リーマンショック」である。 2000(平成12)年ごろから住宅ブームが起きていた米国では、低所得者向けの住宅ローン(サブプライムローン)が流行した。一定期間を過ぎると金利は高くなるが、家を売るとローンの返済義務がなくなることが特徴である。 ところが、住宅供給が飽和状態に達すると買い手がつかない家があふれた。頼みの綱の地価や不動産価格も暴落し、たくさんのローン利用者が家を手離さざるを得ない状況に。ローンが返済不可能になると債券はたちまち不良債権化し、各地でサブプライム問題が一気に表面化すると、ローンを提供していた大手銀行や投資会社が次々と破綻。債権を多く保有していたリーマン・ブラザーズの経営破綻が決定打となり、世界的な金融危機に陥った。 市場は大混乱し、世界同時不況に突入すると、資金繰りが悪化した企業や急激な変化に対応できなかった企業は倒産した。経済成長に対する不安も高まり、株価も大きく値下がりした。  サブプライムローン関連資産の保有が少なかった日本の株式も現金化のため売り込まれた。日経平均株価は、9月12日の終値は12,214円だったが、10月28日には一時は6,000円台(6,994.90円)まで下落。1982(昭和57)年10月以来、26年ぶりの安値を記録した。 米国は景気回復策として異例のゼロ金利政策を実施すると、日米の金利差が収縮し、急激な円高となった。日本からの輸出製品の価格は上昇し、大手企業の海外進出が加速、国内産業の空洞化が問題となった。その後も不景気からなかなか脱することができなかったが、2013(平成25)年に日本銀行が金融緩和政策を実施したことで円安に傾き、景気が回復し始めた。 建設業界においても、リーマンショックの影響で世界的な株安が長く続いたため、公共工事や設備投資削減などによる民間の工事量が減少した。また、企業年金基金に多大な影響を受け、香川県の建設業年金基金は無論のこと、日本のほとんどの企業年金基金が解散に追い込まれた。 2017(平成29)年12月現在は景気も持ち直し、企業収益は改善傾向にあるが、設備投資や個人所得は伸び悩んでいる。実感が乏しい緩やか景気回復では、リーマンショックのような問題が起きれば、たちまち不況に陥る恐れもあり、予断を許さない状況が続いている。今後、日本経済を引き上げる改革に期待したい。100年に一度の危機 リーマンショック2008年(平成20年)きっかけは米国の「住宅バブル」建設業界にも波紋日本の株価も暴落香川県建設業協会 創立70周年記念誌154

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